お遍路にまつわる話
空海が悟りを開いた地「御厨人窟(みくろど)」
高知県・室戸岬にある海辺の洞窟 御厨人窟は、空海が若い頃に修行し、悟りを開いたと伝わる場所です。 洞窟の中から外を見ると、目の前には「空」と「海」だけが広がります。 この景色が、空海の法名「空海」の由来になったと言われています。
空海の修行と悟り
空海は本格的な修行の場を求めて旅をし、その途中で御厨人窟にこもりました。 ここで行ったのが、真言密教の秘法 虚空蔵求聞持法。 虚空蔵菩薩の真言を100万回唱える、とても厳しい修行です。
修行の最中、明星(虚空蔵菩薩の化身)が口に飛び込み、空海は悟りを開いたと伝えられています。
洞窟の奥には小さな「五所神社」があり、洞窟の水音と波の音は「日本の音風景100選」に選ばれています。
四国遍路の始まり「衛門三郎(えもんさぶろう)伝説」
四国遍路の起源とされるのが、伊予の豪農 衛門三郎の物語です。
1.衛門三郎の物語
衛門三郎は裕福でしたが、心が冷たく、托鉢に来た僧侶(実は空海)を追い返していました。 八日目には僧の鉢を割ってしまいます。
その後、三郎の家では八人の子どもが次々と亡くなる不幸が続きます。 悲しみに沈む三郎の前に、あの僧侶が現れ、空海だったことを悟ります。
三郎は深く反省し、空海に謝るため四国を巡る旅に出ます。 20回巡っても会えず、逆の順番で巡る「逆打ち」を始めますが、徳島の焼山寺近くで倒れてしまいます。
死の間際、空海が現れ、三郎は「来世は人の役に立ちたい」と願い息を引き取ります。 翌年、河野家に生まれた子どもの手から「衛門三郎再来」と書かれた石が見つかり、松山市の石手寺に納められました。
2.順打ち・逆打ち
順打ち:1番札所から順番に巡る
逆打ち:逆の順番で巡る(衛門三郎が行った方法)
逆打ちは「弘法大師に会える」「ご利益が大きい」と言われています。
3.衛門三郎ゆかりの場所
石手寺(51番札所):再来の石が祀られている
八塚(松山市恵原町):三郎の八人の子を祀る塚
納め札について
〜色で巡礼回数がわかります〜
1.納め札の始まり
衛門三郎が空海を追って巡礼したとき、 「ここに来ました」という印として札を残したのが始まりと言われています。
2.納め札の使い方
札には
- 名前
- 住所
- 年齢
- 参拝日
を書きます。 願い事は裏に四字熟語で書くのが一般的です。
本堂と大師堂に1枚ずつ納めるので、88ヶ所で176枚必要です。
お遍路さん同士の挨拶や、ご接待のお礼として渡すこともあります。
3.色と回数
| 色 | 回数 |
|---|---|
| 白 | 1〜4回 |
| 青 | 5〜7回 |
| 赤 | 8〜24回 |
| 銀 | 25〜49回 |
| 金 | 50〜99回 |
| 錦 | 100回以上 |
錦はとても珍しく、お守りとして大切にされます。
除夜の鐘が108回の理由
大晦日に撞く除夜の鐘は、108の「煩悩」を消すためと言われます。 108の理由にはいくつか説があります。
- 六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)から計算する説
- 四苦八苦を足す説(36+72=108)
- 12ヶ月+24節気+72候=108
- 「108=たくさん」という象徴的な数という説
寺によっては108回以上撞くところもあります。
空海と弥勒菩薩の梵字が同じ理由
空海は入定後、兜率天(弥勒菩薩の世界)にいると信じられています。 弥勒菩薩が下生する時には空海も共に現れるとされ、 そのため弥勒を表す梵字「ユ」が空海の象徴としても使われるようになりました。